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菊石です。
菊石が水石の世界に登場したのは、昭和になってからだそうです。
最初は、岐阜県の根尾川上流の或る山から出ました。有名な[白木](しらき)の山です。
[白木]以外の山でも採取されると言いますが、最初有名になり、今でもその山から出たものが最高と言われている山がこの[白木](しらき)の山です。
[白木]の山から出た石を磨いて、花を美しく見えるようにした石が、人目をひき、珍重されたことが、世に菊石が登場した最初の出来事でした。
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菊石にも、磨かないで鑑賞出来る石、つまり天然の石があります。
[1] 天然のままで花が結晶状態のものであり、更に瑪瑙化したものもあり、天然のままで見られる菊石があります。
これを【サバ菊】とか【キバ】とか言い、後に出てくる【花舞】【サバ菊山】【サバ菊台】はこれです。
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[2]他に、川に流れ込んで擦れた菊石があります。川擦れと言っています。
[3] 山から出たままのものもあります。
これらの中で、花が露出していて格好良いものもあります。
【菊山】もその一つです[山ずれ]と言う人もありますが、これと異なり、泥や浸食を受けて脆くなったものに覆われた菊石があります。
これらの覆われたものを取り除くのに、ワイヤブラシ、サンドブラスト、針などを使うといいますが、これらの手法は秘密で、とても我々の計り知るところではありません。
この【深山】は、[1]か[3]に属するものです。
この石を、今年(2003年)になって岐阜市の菊石専門の業者氏に見て貰いました。
彼は、『この石は古い石で、白木の山の産である。
中央の凹んだ部分は、多分腐った泥があったのをサンドブラストで吹き飛ばしたものであろう。しかし、良い仕事をしている。
現在生きている人でこれ程の仕事が出来る人はいない。99% 天然のままの石だ』と言っておられました。
『99%天然…』と言われたことは、『全部天然である事は無い』と言われたと同じ事です。
台に埋まっている石の底部から、今でも時に小さい石の破片が落ちます。上部の主峰の頂点あたりを叩くと金属音を発し、硬い様子がうかがえます。
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天然というものは不可思議です。このような格好を作るのですから…。
左右33センチで大きさも丁度良く、大事な石です。
つい最近[2007年9月23日]の事です。
この【深山】が、東京上野のグリーンプラザで行われた日本水石協会主催の第23回日本水石総合展で[秀逸賞]を戴きました。
以前、【深遠】と【瑞陵】とは、京都で行われた大観展で委員会賞を貰っていましたが、今回は、賞状を戴けましたせいか、何故か特別の感慨がありました。
さて、石好き者達の間で[溜まり]のある石は格別に好まれているようです。
[溜まり]の他に、[瀧]のある石も同様に好まれている部類でしょう。
不幸にして、私は[瀧]のある石で、ここにお見せできるクラスの石を持っていません。
次は、北上川の[溜まり]に行ってみます。
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