瑞   稜

【瑞 稜】写真21

[左右36cm]

深山に戻る

深遠の文へ

 

瀬田川産です。底部は切断してあります。

 

石に魅惑されて最初に買った思いで深い石。

 

浜松市に住む台作りで有名な鈴木さん宅でこの石を見て買って帰りました。

 

今のように石にのめり込んでいなかった当時にしては高価でしたから、家で見付かってはまずい、とこの石を長い間棚の下に隠していました。

 

何年かして見付けられましたが、大してとがめられず済み、ラッキーでした。

 

元々素晴らしい肌であったのでしょうが、長い間、棚の奥にしまい込んでいたことも幸いし、長年の持ち込みになり、そのせいでしょう、この石の黒の締まりが抜群となりました。

写真1の【大八洲】が我が家に来た時は、川から採れたままの様子でした。

 

その頃【大八洲】と、この【瑞稜】との黒色を比較したら、何ともならない違いがありました。

 

瀬田石の黒さは、話によれば、最初から真っ黒のものもあるそうです。が、私は不幸にも目下その手の石に縁がありません。

 

【大八洲】は、後にわかったことですが、現地にあった時には、当時の所有者の物置に置いてあったとのことで、何しろ、激流の川から出たばかりと言う様子で、少々灰色がかった黒でした。

 

この【瑞稜】と較べると格段の違いです。

 

【大八洲】は一流の瀬田石ではないのか?と不安になり布で擦ったり、掌で撫でたりしました。何ともなりません。

 

しまいに植物油を塗ってみました。でも、黒色の深みのようなものが、まるで違います。

とても及ぶものではありません。

 

しかし、我が家に来て25年経った今日現在の【大八洲】の黒はこの【瑞稜】に近い様子になっているではありませんか!

 

幸せです。

 

これが世に言う[持ち込み味]でしょう。

 

私見ですが、瀬田の真黒の感じは、瀬田独特のものです。それは、硬質であり、高密度を感じさせています。

 

それらの性質が、内容を感じさせ、素晴らしい[かたち]に支えられ、大きな存在感となるのです。

 

京都で催される[大観展]で委員会賞を貰っています。

 

さて、この石の表面を近くで見ますと、実にユニークな肌を見ることができます。

 

基本は[梨地肌]の範疇に入るかも知れませんが、実に綺麗な流れるような筋紋様を描いています。

 

普通の梨地肌でなくて、蟹真黒の紋様を極端に細かくしたような凹みが、その綺麗な流れるような筋紋様に沿って散りばめられている様相は、何とも美しいものです。

 

他の瀬田川石では、見た事の無いものです

うまく写真を撮る事が出来ましたら、このページに載せます。

 

しばらくお待ち下さい。