香   流

【香 流】写真38

[高さ23cm]

集中心的の意味へ

 

瀬田川の梨地肌真黒石です。

 

武田石切所に集まる業者諸氏の中に、当時有名だった有沢さんがおられ、彼のお宅を訪れ買った石です。

 

美しい肌と漆黒の色。

 

流れるような線があるにしても、この石から上面の微妙な変化を持った平らのかたちを変えたら、魅力のない、平凡な石になってしまいます。

つまり、上部の平らがこの石の[肝]であると私は言っています。

 

名古屋市に[香流]と書き(かなれ)と読む川と地名があります。

何とも美しい響きの名前なので、この石の銘にしました。

 

上面に平らがあるので、左下の上を支えるような部分に、力を感じます。

 

それらが相俟ってこの石に動きを感じさせる魅力になっています。

 

結局は、上部に平らがあるからです。

 

まず、平らというものが持つ意味は大きいようだと思ってください。