| |
上部はご覧のように虎石のたぐいですが、底面は真っ黒な梨地肌です。
昔、京都の九十九会に出品したとき、瀬田川石の地元である大津市の石好き諸氏が[庄内川産]と書いてあるこの石に驚いておられたのが印象的です。
どこのどなたが庄内川のどの河原で発見されたのかわかりませんが、この石が手元に来たのも明らかに幸運です。
さて、上記3個の石は、平野に山を持つことで成り立っている石です。
写真7、8、9を[土坡石]と言っています。坡面とは、なだらかな坂の意味なのに、水石では一般に平野に山々を指しています。
その理由は、恐らく【春日野】と【悠久】に見られるように山に裾があるものから起きたイメージによるものでしょう。
| |
| ● | | |
裾のない感じの石、【金剛】も土坡石と言っているのですが、まあ呼称のことですから許されていいとすべきです。
| |
|
この項目で注目して戴きたいことは、これらの平野の上にある山々(隆起物)がどれも石の中央部、つまり、平野の方向を向いて、しかも中央部の平野を取り巻いている感じを持っていることです。
そして、それ故にそれらは石の中央部に視線を安定させ、全体として落ち着きを得て、鑑賞の対象物となれています。
結局、この種の石も[中心に視線が集まるもの]が良いようです。
| | |
隆起物が平野の方向、つまり石の中心に向かっていない石を私は持っていませんから、ここで現物の写真で見せられません。
しかし、後に出てくる[●集・中心的の意味]の中の二組の写真を見て下さい。
最近は便利な世の中になって、【金剛】の山の部分と【遼遠】の主峰とをコンピュータで変形をさて見て戴けます。
結果は、明白になっています。
| |
| | | | | |