矢 合 川 石 4
矢合川石 No.4
[高さ21cm]
私は下流の出発点を名阪高速四日市インターの下とし、矢合川を上流まで全部、川底をヨタヨタと歩いたことがあります。
歩いた感じでは源流?の辺りは平野の途中で変哲のない小川になり、水も石もなくなっています。
歩いている前方には、鈴鹿山脈が立派に聳えているのに情けない思いをしました。
故のない実感ですが、ここにある石たちは全体に大昔の地殻変動前に出来たものであろうと思ってしまいます。
さて、この石は名古屋市にある自分の会社で仕事中の午後、きっと暇だったのでしょう、急に矢合川に行きたくなり行ってしまいました。
その時にこれを発見しています。
発見したときは川の水たまりの中にあって、水藻に覆われ何の質かわかりません。
持ってみると重かったので、期待して持って帰りました。
洗ってみましたら、ご覧のよう良いものでした。
台は浜松市の鈴木さんです。鈴木さんの台はいつもお洒落です。
台に載せた石を展覧会に出品する、つまり見て戴く場合に、台に付いた左右の端の二つの足は、見る人から等距離にあるべきであるとされています。
足は左右に一直線上にあるべきとなっている訳です。
そうしますと、この石は変な格好に置かれていることになります。
私は、この石の正面は左下の足と右奥の足とを結んだ線を左右に一直線にした線を正面としています。
中央の足は、単なる出っ張りであり、その出っ張りの左右に[逃げ感]を感じないから問題ないと考えています。
さて、本文で九十九会初代会長さんの石【雲の平】のお話をしました。
そこで庄内川石を一つ写真で紹介いたしました。
しかし質感・存在感などではこの石の方が良いように思います。
例の名古屋にあった瀬田川石好きで有名だった水石の店、奈古埜の当主に見せたとき、一見して瀬田川石と思い込み『良い石だ、良い石だ』としきりに感嘆しておられたのを思い出します。
『この石は矢合川石ですよ』との説明に絶句しておられました。