文 明 開 化

【文明開化】写真18 

[高さ23cm]

 

揖斐川の石です。1965年頃、日本は石ブームに湧きました。

 

揖斐川町に、現在、[揖斐川銘石店]という店があります。

 

店主は、高橋克馬さん。

 

この店主ご自身が、石ブームの頃に拾ったと云う石です。

 

ご自宅(現在、揖斐川町を出発し上流にトンネルを二つ渡ったあたりの津汲という所)近くの揖斐川でとの事でした。

 

現在、このあたりの揖斐川に全く石がありません。川底が露出しています。

 

この場所には私が石を始めた頃、沢山の石がありました。

川の両岸は高い山間ですから、洪水が起きる心配などある筈はありません。

石達は全部コンクリートの材料になったみたいです。何故でしょう。多くの河川から石が持ち去られ、建築資材になっているのかも知れませんが…。

何億年の歳月で蓄積された大自然の恵みなのに、ここ100年以内の文化らしきものの為に壊されてしまったのは、政治をする官僚の思慮の浅さであり、愚行に間違いありません。

川が荒らされたのは、全く口惜しい出来事です。

 

この石は、当時に出版された色々な本や雑誌に、[文明開化]なる銘で掲載されています。

 

例えば、昭和43年に樹石社から出版された[愛石三昧]なる本に、[文明開化]として載っていました。

 

小林宗閑さんの筆跡で[宗閑]なる朱印と共に、箱のおもてに[文明開化]と書かれている[文明開化]なる銘は[愛石三昧]の著者である[小林宗閑さん]が付けられたものです。

 

  なお、この箱には、もう一枚の表書きをした表板が付いています。

この表書きは[風姿]

裏に、[山口誓子]と書かれ、朱印を押されています。

この時代、つまり石ブームの時代に、揖斐川方面を日本の文化人が屡々訪ねて来ておられた痕跡があります。

 

岡本太郎の[太陽の塔]のお話もこの一つでしょうか。

 

 

平成6年に高橋さんから譲って貰ったこの文明開化は、ご覧のように何とも言えない品位のある雰囲気で、喜んでいます。

 

 

 

もう一つ、姿石を見て下さい。