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[左右57cm]
この石は、本文の最初の話題[逃げ]の説明に使った【遼遠】写真3です。
入り江のような部分を正面に持っていて、アンチ逃げのようなものでしたから敢えて最初に持ってきました。
この手の格好の石は世に数多くあるものではありません。
しかし、この石を大きな展覧会に出品してみて、何とこの石には[存在感]が薄いことに気付きました。
私は、石の価値を判断する尺度の一つに[どのような存在感を持っているか]があると思っています。
その観点からすればこの石の価値に或る疑問を感じます。
故に、説明用の石とは云え、最初の石としてこれを採用した事が正解であったか、との思いは残りますが、“逃げ”の説明の端緒に最適であったのでやむを得ないと考えています。
一般に、切断した石は[存在感]が薄くなる危険があります。
それは、欠点のようなものを無くする方向で切断するから、時に優等生になり過ぎて、結果はイメージが固定してしまう傾向になるからであると考えています。
恐らく、その石に接した時に、欠点の無い優等生であるより、欠点かも知れない何かを感じさせる結果、イメージが多方向に展開できる石が、恐らく[存在感]を発揮するでしょう!