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佐治川の石です。
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1997年に、あるお店で発見しました。
頭のてっぺんが風にふかれて曲がった様子なので【風神】と銘じています。
佐治川の産とは言いますが、佐治川は探石禁止だとかですから、恐らく千代川で採石されたものでしょう。
現状で佐治川石として通用している石の大方は千代川石であると言われています。
古くに揖斐川を中心に活動された坂井(貞亮)さんという業者さんがあり、この人は瀬田川にも出掛けて石の加工の名人でした。
後半は東京で活躍されたと聞かされています。
この人のせいもあったのでしょう、石ブーム前、つまり“昭和40年前”の日本では[加茂川石]、[瀬田川石]、[揖斐川石]が一流の産地とされていました。
その後、私の知っている範囲では、石ブーム前後に、静岡市を本拠としてご活躍の業者さんの多くが佐治川に出掛けられ、徐々に佐治川石が有名になって来たようです。
佐治川石は揖斐川石と類似の傾向の質ですが、現在では断然佐治川石が有利になっています。
しかし、私の持っている【深遠】【悟空峰】などなど、佐治川石に負けていないものが沢山あります。この辺りを見直して戴きたく思っています。
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さてここで余談を一つ。
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| 【与十郎石】の起源のお話です | | |
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岐阜市に行き、坂井(貞亮)さんの末裔氏に直接取材したお話。
与十郎石をご存じですか?
この石の本物は底部切断ですが、上部は天然だそうです。
その後この石を模した与十郎石と称する加工石が沢山流通していますから、本物がどこにあるか分かりません。
与十郎石とは、私の【春日野】(この春日野は山々が低い石ですから、本物の与十郎石とは較べものになりません。単に、白い大地の上に風景がある点が似ているだけです)のように下に白い平野があり、その上に山々があるという格好です。
岐阜市に住む坂井(貞亮)さんは、自転車に乗って揖斐川まで通ったそうです。
そしてある日、大きい石の先端に、白い層がありその上に良い格好の山々を持った石を、とある家の庭で発見したと言います。
勿論、買って帰りました。
そして、その先端を切断して、見事な山岳風景の石を得ました。
揖斐川で[白い層]がある石とは全く珍しい事です。
でも、私が【春日野】を見付けた庄内川でも、【春日野】以外に白い層を持つ石を見た事ありませんから、どの川ででもたまに[白い層]の石はあるものでしょう。
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| 春日野文へ | | |
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さて、庭にこの石を持っていた揖斐川沿いにあった家の、ご当主のお名前が[与十郎]さんだったのです。
これが、与十郎石の誕生です!
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世に、“与十郎石の由来は不明である”と記されているのを見ます。
また、“最初の作者が与十郎と言われる人が作ったから与十郎石である”と書かれているのも見ます。
これは、共に間違いです。
石ブームの後、松前古潭石(千軒石)の大きい石の先端に、白い層を持ち、青色の山々を持った石の原石を、焼津市の業者氏の工場で見た記憶があります。
世に言う【与十郎石】とは、こんなものだったのかしら?と思い見ていましたが、これは後に切断されて流通したらしく、石の雑誌に載っているのを見ました。
この石のように、その部分だけは天然であると言うものもありますが、この系統の石で全面的な作りの石を、松前古潭石(千軒石)を材料にしたもので見た事がありますから、天然の石を求める私たちは、一応警戒したほうが賢明でしょう。
坂井(貞亮)さんは瀬田川石にも優れた加工しておられます。
その加工法はこんなものかしら?と云う推測は出来ますが、確かめようがありませんから、ここでは触れません。
さて、ネットで【与十郎石】を検索すると、色々な格好の石が【与十郎石】として出てきます。どうやら[加工された格好の良い山水石]となった石の多くを【与十郎石】と言っている傾向があります。つまり、【与十郎石】なる呼称は、加工されて格好良くなった石の代表的名称として使われていると言えます。
私は、平野部分が「白くなって」いて、その「平野の上に山々がある格好」が、与十郎石として、必要な、又は、基本的な格好であると確信しています。
そこで、こんな格好の石をネット上で発見できないものかと、努力してみました。
Yahoo!で【与十郎石】で検索して空振りでしたが、Googleで検索しましたら、中国のサイトと思われるものの中に、生粋の【与十郎石】らしき石の写真を発見しました。
このサイトは「雅石欣賞-盆景中国……」の表題で始まります。本編で【与十郎石】を見付けることに失敗しましたが、何故かキャッシュをクリックして楽に【与十郎石】にいけました。
所有者は【平沢勝栄氏】と書かれています。
あの有名な自民党の政治家である【平沢さん】でしょうか?。
恐らくそうでしょう。
ご許可無しで、ここに掲載することは憚られますものの、この石が、余りに、見事であり、典型的な【与十郎石】ですので、兎も角、ご許可を得る方法を思い付かなく、平沢勝栄さまのご許可は得ていませんが、お叱りを覚悟して掲載してみます。
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拡大写真をご覧下されば感じて戴けますでしょうが、この石の上部が、若し加工であったな
ら、現代で考え難い達人の作です。
加工の達人の伝説は今も語り続けられています。
この石は、それらの一つであるのかも知れません。
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いずれにしても素晴らしいものであると感じています。
[写真をクリックして下さい。大きい写真へいきます]
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